前回の投稿では「乳製品」についてお話ししました。
ヨーグルトやチーズなども「発酵食品」でしたね。
今回は発酵食品の中の「味噌」についてです。
日本人に馴染みのある「味噌」とは ”蒸した大豆に麹をつけて数ヶ月〜数年ほど固形で熟成させたもの” 。
味噌が初めて日本に伝わったのは701年(大宝元年)、朝鮮半島より伝わったとされています。
味噌は約1300年の歴史があるのですね。
日本の伝統食品でもある「味噌」が、なぜ今、注目されているのか?
それは味噌が「発酵食品」だから。
では「発酵」とはなんでしょう。
発酵とは、麹菌などの微生物の働きによって食品中の栄養素が分解され、人にとって有益なものを作り出す反応のことを言います。この反対が腐敗です。
大豆を発酵させた味噌には多くの健康機能性が発見されています。
- 血圧上昇抑制(血圧上昇ペプチド『アンジオテンシン』を生成するアンジオテンシン変換酵素を阻害するペプチドが存在するため)
- 放射線防御効果(長崎の被曝医師である秋月氏が原爆症を発症しなかったのは「ワカメの味噌汁」のおかげだという有名な話があります。)
- 抗腫瘍性(味噌を食べる人の胃がんが減少、また乳がんの発症率減少という研究データがあります。味噌のタンパク質、イソフラボンの成分によるものと考えられています)
- 抗変異原性(脂溶性物質リノレン酸エチル『不飽和脂肪酸エステル』が抗変異原性の有効成分ピラジン類、フルフラール類、グアヤコールによるもの)
- 抗酸化作用(大豆に含まれるサポニン、イソフラボンによるもの)
- その他(免疫力活性化、腸内環境向上、他)
発酵という過程によって栄養素が分解されているため、消化によく、胃腸の弱い人や、代謝異常による消化酵素が少ない発達障害のある子どもにも良いとされています。
例えば味噌の場合、麹菌が生成する酵素は30種類以上。
酵素とは、ハサミと接着剤のような働きをします。栄養素を分解したり、合成したりします。
・プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)
・グルタミナーゼ(グルタミンをグルタミン酸に)
・アミラーゼ(デンプンを分解)
・リパーゼ(脂肪をグリセロールと脂肪酸に分解)
…まだまだあります。
このように発酵食品は、酵素が豊富で消化しやすく、食品中の酵素や栄養素を増やし、腸の中にある有害な菌や病原性最貧を撲滅してくれるため腸内環境向上に絶大な効果があります。
日本の主な発酵食品は、納豆・味噌・醤油・漬物・塩麹などがありますので、毎日のお食事にうまく取り入れたいものです。
<簡単レシピ!>
手軽にお味噌汁を「味噌玉」
お弁当や忙しい朝、一人でのお食事に温かいお味噌汁がさっと飲めるレシピです。
いわゆる手作りのインスタント味噌汁です。
(材料)1杯分
・味噌…大さじ1
・ダシ粉…小さじ半分(鰹節や昆布や煮干しを粉にしたもの)
・お好みの具(とろろ昆布、カットワカメ、乾燥野菜、乾燥ネギ、ひきわり納豆、など)
(作り方)
1、ラップの上に材料を順にのせ、空気を抜きながら包みます。
2、飲みたいときにお湯を注ぐだけ。
★味噌玉は冷凍保存が可能(半年)ですので、作り置きしておくと便利です。災害時には非常食にもなります。
参考文献:「発達障害の子供が変わる食事」「1日3食をやめなさい」「発酵」「発酵食品学」
執筆者:しいなゆきこ